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長編ブログ【腣】 第3話:張力という才能 ——「力を入れる」前に、身体はすでに満ちている。

長編ブログ【腣】 第3話:張力という才能  ——「力を入れる」前に、身体はすでに満ちている。

もっと鍛えよう。
もっと筋肉をつけよう。
もっと力を入れよう。

不調を感じたとき、あるいはパフォーマンスを上げたいとき、私たちの多くは身体を「足し算」で扱おうとします。足りないから、補う。弱いから、強くする。
しかし、私がジムの現場で多くのクライアントを観察してきて、一つの確信に至ったことがあります。
本当に動きがしなやかな人、重力から解放されたように歩く人、そして疲れを知らない人の身体には、「力(Force)」が入っているのではありません。
彼らの身体を支配しているのは、「張力(Tension)」です。

■ 張力(Tension)とは、「出ていない力」である

張力とは何か。
それは、「引き合っているけれど、まだ動いていない力」のことです。
日本の伝統的な「弓」を想像してみてください。
弦(つる)をギリギリまで引き絞り、弓の木が極限までしなっている状態。その瞬間、まだ矢は放たれていません。外から見れば「止まっている」ように見えます。
しかし、その内部には凄まじいエネルギーが蓄えられています。
一番エネルギーが満ちているのは、矢が飛んでいく瞬間ではなく、まさにその「拮抗(Antagonism)して止まっている瞬間」なのです。
人間の身体も、これとまったく同じ構造を持っています。

■ 押す力と、引く力の「拮抗(Antagonism)」

例えば、「ただ立つ」という動作。
多くの人は、脚の筋肉を力ませて地面を「踏ん張って」立とうとします。
しかし、張力が機能している身体は違います。
地面を下へ向かって押す力と、頭頂部が空へ向かって伸びようとする力。
前側(腹部)の圧力と、後ろ側(背部)の引き合う力。
これらが相反する方向へ引っ張り合い、見事に「拮抗(Antagonism)」し、どちらも勝っていない状態。このとき身体は、ガチガチに固まっているわけでも、ダラリと力が抜けているわけでもありません。
ただ、空間にピンと張られ、「整っている(Aligned)」のです。

■ 張力は、選ばれた者の「才能(Talent)」なのか

ここで私は、あえて「才能」という言葉をタイトルに使いました。
しかし誤解しないでほしいのは、これは「生まれつきの遺伝的な優位性」という意味ではありません。
張力は、ジムで歯を食いしばる努力で作るものではなく、誰かから与えられるものでもない。強いて言えば、「思い出すもの」に近い感覚です。
第2話で、私は「一度、丸まることの重要性」をお話ししました。
躊躇なく丸くなれる人。
外側の過緊張を手放し、初期状態に「戻れる」人。
身体の中に余白を作れる人。
そういう人ほど、立ち上がった時に、驚くほど自然にこの「張力(Tension)」を取り戻します。無駄な力みがなく、スッと立つ。だから結果的に、周りからは「あの人は身体の才能がある」ように見えるのです。

■ 現代人が陥る、構造のエラー

不調を感じた現代人の多くは、対症療法に走ります。
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* 肩が硬いから、ほぐす(Release)。
* 腰が弱いから、鍛える(Train)。
* 丸まっているから、無理やり胸を張る(Stretch)。
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もちろん、それらのアプローチ自体を否定するつもりはありません。
しかし、身体の基本構造に「張力(Tension)」が失われている状態でそれをやっても、単に別の場所へ負担を押し付けるだけ(代償動作)に終わります。
それはまるで、弦がだるだるに弛んだ弓の木を、力任せに手でへし折ろうとしているようなものです。

■ 中心(帝)に戻ると、勝手に張る

第1話でお話しした、身体の司令塔である「腣(テイ・帝)」。
第2話でお話しした、システムを初期化する「丸まる」プロセス。
このプロセスを経て、身体の中心(ゼロポイント)を取り戻して初めて、張力は自然発生的に立ち上がります。
内臓を包む腹圧(Intra-abdominal pressure)が高まり、背骨の椎間板が上下にスペースを作り、関節に「遊び(Margin、マージン)」が生まれる。
この状態になったとき、本人に「力を入れている感覚」は一切ありません。
ただ弦が張られているだけ。
しかし、
* 何時間立っていても疲れない。
* 歩くときに足が勝手に前に出る。
* 動作の切り返しが劇的に速い。
そんな「才能」のような変化が、あなたの身体に確実に起こります。

■ 張力は「動く前」に完成している

私たちはつい、「動いてから姿勢を整えよう」とします。
しかし、真理は逆です。
「整って張力があるから、自在に動ける」のです。
張力は、動作の結果ではなく、すべての動きの「大前提」です。
だからこそ、私たちがトレーニングの現場でやるべきことは、実はとてもシンプルです。
* 張力を邪魔している「外側の力み」を外すこと。
* 忘れ去られた「中心感覚(帝)」を呼び戻すこと。
* 無理やり形を作ろうとするのを「諦める(明らめる)」こと。

次回、第4話。
この張力を利用して、身体を最も美しい状態へと導く概念。
ピラティスの真髄とも言える「エロンゲーション(離角)」について、いよいよ核心に迫ります。
中心があるからこそ、遠くへ離れることができる。
その神秘的な人体の構造を、ともに紐解いていきましょう。

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高山市にあるスポーツクラブ「ing」では【健康】を意識しています。
単に筋肉を鍛えるだけでなく、今回のブログ内容でもありましたが「身体の再構築」をテーマにしたピラティスやトレーニング、ダイエットへのアプローチなどの指導を行っています。
あなたの身体の中に眠る「タレント(才能)」・「張力」・【腣(テイ)】を、意識しながら一度、丸くなる動作から張る感覚を得て、一緒に体の感覚を呼び覚ましましょう。

体験のご予約、お問い合わせ等お待ちしております。

 

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